TECHNOLOGY / MATERIAL

JPSとは
JPS(Japan Premium Stainless)
ZENITHが国内金属メーカーと共同開発した独自配合のステンレス素材。
既存のJIS規格をベースにせず、クロム・ニッケルの含有量を独自に調整し開発された、ZENITH独自の商標的な素材名です。
開発の背景 - JPSが必要な理由
既存のSUS303系は快削性・耐食性に優れる反面、規格自体は工業用途全般を想定した汎用素材で、パター特有の打感・打音まで最適化されたものではありません。303Pの熱処理による改良にも、ベース規格の枠内という限界があります。JPSは既存規格を前提とせず、パターに最も適した特性だけを目的に、クロム・ニッケルの含有量から一新して開発された素材。既存素材の改良では届かない領域を求めた結果が、ゼロからの独自開発という選択だったと言えます。
JPS-Sの特徴
JPSは、国内金属メーカーと共同で一から配合を練り上げた独自ステンレスで、系統としてはオーステナイト系。独自のクロム・ニッケル含有量に加えある成分を加えることで、高密度・高強度と優れた耐食性を実現。打感はソリッドで弾く感じが強く、打音も締まった印象になります。快削性も高く、精密なミーリングとの相性も良好。既存規格の改良ではなく、ゼロから最適化された最高峰グレードという位置づけです。
※JPS-Sの「S」はSOLID
JPS-Mの特徴
JPS-Mは、名称は同じJPSを冠しますが、フェライト系ステンレスがベースです。ニッケルを含まず磁性を持つ点が、オーステナイト系のJPS-Sとの大きな違いです。打感はマイルドで柔らかく、打音も落ち着いた印象になりやすい。快削性はオーステナイト系よりやや劣るため、加工の難度は上がります。
※JPM-の「M」はMILD

打感の特徴 : JPS-S
JPS-Sは、インパクトの瞬間に芯がぎゅっと締まるような、密度の高い手応えが特徴です。ボールを弾き返す反発感は303Pよりさらに鋭く、押し返される力強さがはっきりと手元に伝わります。余韻は短く、すっと切れるような潔さがあり、迷いのないソリッドな打感を求める人にとって、最も分かりやすい手応えを持つ素材です。柔らかさに寄せず、締まった感触をそのまま貫く。それがJPS-Sの持ち味です。

打感の特徴 : JPS-M
JPS-Mは、インパクトの衝撃をやわらかく受け止め、手のひらに吸い付くような包容感が特徴です。反発は控えめで、弾かれるというより、ボールを優しく押し出すような感触に近くなります。余韻もすっと静かに収まり、キンキンとした鋭さは残りません。力任せにならず、繊細なタッチで距離感を作りたい人にとって、安心感のある柔らかな手応えを持つ素材です。
打音の違い
JPS-S(オーステナイト系)は密度・硬度が高く、インパクト音は高めで澄んだ音質になりやすく、音量もやや大きめ、余韻は短く鋭く切れる傾向があります。一方JPS-M(フェライト系)は結晶構造が異なるため振動特性も異なり、音質はやや低くこもり気味、音量は控えめ、余韻も短めに静かに収まりやすい。
素材特性と打感が変わる理由
JPS-Sはオーステナイト系特有の高い靭性(粘り)を持ち、衝撃を受けてもしなやかに力を受け止めるため、硬さと粘りが同居した密度感のある打感になります。振動も素材内で締まって伝わり、ミーリングの三角形状と噛み合うことで反発と柔らかさが両立します。JPS-M(フェライト系)は靭性がやや低くニッケルによる組織強化もないため、振動が緩やかに減衰しやすく、ミーリングとの組み合わせでも衝撃が尖らずマイルドに伝わります。硬度・粘り・振動減衰・ミーリング形状が絡み合い、それぞれの打感を形作っています。
SUS303Pとの違い
SUS303Pは既存のSUS303を熱処理で鍛え直した改良素材で、硬さと柔らかさの中間に位置するバランス型の個性を持ちます。一方JPS-S/JPS-Mは、ゼロから配合・素材系統ごと設計し直した専用素材で、ソリッドとマイルドという両極に振り切った個性を持ちます。どちらが優れているというより、
SUS303Pは「まず基準を知りたい」「バランスを保ちたい」人向け、JPS系は「はっきりとした好みの方向性がある」人向けという、目的の違いとして選び分けられる関係です。

おすすめのプレーヤー
JPS-Sは、インパクトの手応えをはっきり感じたい人、締まった芯のある感触や、弾き返されるような力強い反発感を好む人に向いています。ミスヒットの感覚も敏感に把握したい、シビアな距離感コントロールを求める人と相性が良い素材です。JPS-Mは逆に、衝撃をやわらげ、優しく包み込むような打感を好む人向け。力任せにならず、繊細なタッチで距離感を作りたい人や、落ち着いた低めの音を好む人に適しています。硬派な手応えのSと、柔らかな安心感のM、好みが対極にある2つの選択肢です。
フィッティングでの選び方
試打では素材名を先に伝えず、まず自由に打ってもらい「弾く感じと柔らかい感じ、どちらが心地よいか」「音は高めと低め、どちらが好みか」を感覚のまま答えてもらいます。手応えを明瞭に感じたい人にはJPS-S、衝撃を優しく受け止めたい人にはJPS-M、判断に迷う人には基準となる303Pを提案。名前の説明は最後に行い、優劣ではなく方向性の違いとして伝えます。最終的には数値ではなく、本人が「しっくりくる」と感じた感触を最優先します。