TECHNOLOGY / MATERIAL

インゴットからの削り出しとは
金属の塊を、設計データに基づいて工作機械で削りながら形をつくる製法。高い精度で形状を再現しやすく、個別仕様にも対応しやすいのが特徴です。
鋳造とは
金属を溶かし、型に流し込んで形をつくる製法。量産に適しており、複雑な形状もつくりやすいのが特徴です。
削り出しと鋳造の違い
削り出しと鋳造の大きな違いは、型を使って形をつくるか、金属の塊から直接削って形をつくるかという点です。
鋳造は金型を使用するため、金型製作の初期コストが必要ですが、一度型が完成すれば同じ形状を効率よく量産できます。一方で、形状変更には金型の修正や再製作が必要になります。
削り出しは金型を必要とせず、設計データを変更することで形状や仕様を比較的柔軟に変えられます。また、設計値を高い精度で反映しやすい反面、一本ごとの加工時間が長く、材料や加工コストも高くなりやすい製法です。

ZENITHが削り出しを選ぶ理由① 設計
ZENITHでは、フィッティング結果をもとに、プレーヤーごとに異なる仕様へ調整します。
削り出しは金型を必要としないため、設計データを変更することで、ライ角・ロフト角・ヘッド重量・形状などをモデルごとに細かく反映できます。
フィッティングで導き出した数値を、そのまま設計へつなげられること。
この高い設計自由度が、一人ひとりに合わせたオーダーメイドパターを実現するうえで、削り出しが適している大きな理由の一つです。
ZENITHが削り出しを選ぶ理由② 精度
パターは、わずかな寸法や重量の違いが、構えやすさやストローク、インパクト時の感覚に影響します。
ZENITHでは、設計した形状や角度、ヘッド重量を高い精度で再現するため、削り出し加工を採用しています。
設計データをもとに金属の塊から直接加工することで、モデルごとの寸法や重量を細かく管理し、狙った仕様へ仕上げることができます。
フィッティングで導き出した数値を、できる限り忠実に一本のパターへ反映する。
その再現性を支えることが、ZENITHにとっての「加工精度」です。
ZENITHが削り出しを選ぶ理由③ 素材
ZENITHでは、SUS303PやJPSといった素材それぞれの特性を、できるだけ素直にパターへ反映することも重視しています。
削り出し加工は、素材そのものを金属の塊から直接削って形にするため、素材が持つ硬さ、振動特性、打感・打音の違いを活かしやすい製法です。
ZENITHが削り出しを選ぶ理由④ 少量生産
ZENITHは、同じ仕様のパターを大量に生産するブランドではありません。
フィッティング結果に応じて、モデル、ライ角、ロフト角、ヘッド重量、シャフト長などを一人ひとり変えて製作します。
削り出しは金型を必要としないため、こうした多品種・少量生産や個別仕様の受注生産と相性の良い製法です。
設計データを一本ごとに調整し、そのまま加工へつなげられる。
必要な一本を、必要な仕様でつくる。
そのZENITHのものづくりを支えているのが、削り出し加工です。

削り出しのデメリット - 1本の製造に複数の工程
削り出しは高い自由度と精度を持つ一方で、効率の良い製法ではありません。
金属の塊から不要な部分を削り落として形をつくるため、一本あたりの加工時間が長く、切削による材料ロスも多くなります。
ただし、加工時に発生したキリコ(切削くず)は廃棄するのではなく、金属資源として回収・再利用されます。
また、使用する工具や加工設備、工程数も増えやすく、量産を前提とした鋳造と比べると製造コストは高くなります。
さらに、加工途中で不具合が発生した場合、それまでの工程をやり直すことが難しく、一本を完成させるまでに高い技術管理が必要です。
ZENITHでは、こうしたデメリットを理解したうえで、個別設計と高精度な再現性を優先するために削り出しを採用しています。

打感・打音との関係
打感や打音は、製法だけで決まるものではありません。
大きく影響するのは、使用する素材の硬さや振動特性、フェースミーリングの形状・深さ、ヘッド形状、重量などの組み合わせです。
そのため、「削り出し=柔らかい」「鋳造=硬い」と一概に分類することはできません。
ZENITHでは、削り出しという製法そのものを打感づくりの目的としているのではなく、素材ごとの特性を活かしながら、ミーリングや設計まで含めて狙った打感・打音へ近づけるための手段として活用しています。
製法、素材、ミーリング。それぞれの役割を切り分けながら組み合わせることで、ZENITHならではの打感をつくっています。

フィッティングとのつながり
ZENITHのフィッティングは、プレーヤーごとに異なる構え方やストロークを確認し、その人に適した仕様を導き出すためのものです。
そこで決まったライ角、ロフト角、ヘッド重量、シャフト長などを、実際の一本へ正確に反映するために削り出し加工があります。
金型に合わせてプレーヤーを選ぶのではなく、プレーヤーに合わせて設計データを変え、その設計をそのまま形にする。
フィッティングと削り出しは別々の工程ではなく、ZENITHの「一人のプレーヤーに、一本のパターを合わせる」という思想を実現するためにつながっています。